歯科矯正学的歯の移動に際しておこる歯根膜改造において、抗原提示細胞の一種である樹状細胞の役割について以下の項目に分け、現在研究進行中である。 1.歯根膜樹状細胞の同定 歯根膜樹状細胞を免疫組織化学(MHC Class II分子)、酵素組織化学(ACP ase活性)により特異的に標識し、透過型電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡により特徴を探った。そして、細胞形態、大きさ、細胞内小器官に特徴が見られることが明らかとなり、さらに、分化過程における細胞形態の変化を推察した。 2.歯根膜への力学的負荷に対する樹状細胞の反応様式 ラットの臼歯に力学的に負荷をかけて歯を移動させ、歯根膜の樹状細胞の変化、特に分布様式の変化を観察した。そして、歯根膜改造によって出現した破骨細胞と樹状細胞が密接に関連した動態を示すことが明らかとなった。 3.歯根膜樹状細胞の分化経路の解明 ラット臼歯の器官培養により血行性の新たな樹状細胞供給が遮断された環境において歯根膜樹状細胞の動態を観察した。現在はまだ、予備実験の段階であり来年度に継続して実験予定である。
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