【目的】歯周炎の発症、進行にサイトカインの役割は重要である。中でも早期発症型歯周炎(EOP)は青年期頃より発症し、遺伝的要因がその発症に強く関与していると考えられている。今回我々は、日本人におけるTNF-α、IL-1α、IL-1β、IL-1ra遺伝子多型の頻度について検索し、EOPとの関連性について検討を行った。 【材料と方法】インフォームドコンセントを得た日本人EOP患者約50名、健常者約100名を対象とし歯周組織検査及び末梢血よりゲノムDNAを抽出した。TNF-αの5カ所の遺伝子多型(-1031/-863/-857/-308/-238)はPCR-SSOP法およびダイレクト・シークエンス法を用いて検索し、またIL-1α(+4845)、IL-1β(-511)、(+3954)の遺伝子多型はPCR-RFLP法、IL-1ra(VNTR)遺伝子多型はPCR増幅後のリピート数の違いによって決定した。さらに、各遺伝子多型の頻度と疾患との関連性について統計学的解析を行った。 【結果】TNF-α5'側の3カ所の多型(-1031/-863/-857)は健常者において比較的高い頻度で認められたが、EOP患者と比べて統計学的有意差は認められなかった。さらに4種類のハプロタイプを検討したところ、あるヘテロ遺伝子型の頻度はEOP患者群では有意に低い値を示した。また、EOP患者のIL-1遺伝子多型のアレル頻度およびキャリアーの頻度は健常者に比べ、IL-1ra(VNTR)遺伝子多型でのみ有意に高かった(オッズ比=3.40、3.81)。一方、IL-1α、IL-1β遺伝子多型の頻度に統計学的有意差は認められなかった。 【結論】以上の結果より、TNF-α5'側およびIL-1ra(VNTR)遺伝子多型は早期発症型歯周炎においてリスクマーカーとなる可能性が示唆された。
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