研究概要 |
近年歯周病と全身疾患との関連性が指摘され、歯周病原性細菌のLPSの体内への進入がその一因と推測されている。本研究では歯周炎罹患患者の末梢血血清中にLPSが存在するか否かを明らかにするため、以下の実験を行った。 歯周炎患者を1986年のAAPの分類によって早期発症型歯周炎(EOP,22人)、成人性歯周炎(AP,12人)に分類し、インフォームドコンセントを得た後、採血し血清を採取した。同年齢の健常人をおのおのコントロールとした(EC,AC,それぞれ5人と8人)。血清中のLPS量はEndospacy^<TM>(生化学工業)を用いてリムルス活性を測定することによって得た。 健常人では血清LPS量はEC6.14±6.79pg/ml、AC3.95±4.59pg/mlであったのに対して、歯周炎患者ではEOP14.78±14.62pg/ml、AP2.49±2.42pg/mlであった。血清LPS量はEOP患者で血清LPS濃度が高かったものの、個人差によるばらつきが大きく、APと比較してのみ有意な差が認められ、EOP-EC間、AP-AC間、EC-AC間では有意な差は認められなかった。 今回の結果からEOP患者で血清LPS濃度が上昇している可能性が示唆された。LPS量の増加はEOPに関連した細菌の違いによるものかも知れない。今後は患者数を増やし、またリムルス活性は血清蛋白質の影響も受けやすいことが報告されているため、歯周病患者血清がもつ生物学的活性(単球のTNF,IL-1,6産生能)に関しても測定する予定である
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