研究概要 |
ザラゴジン酸類の第二世代合成法としてカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を機軸とするルートの開発を行なっている。これまでにMOMオキシエチル基を側鎖として組み込んだα-ジアゾエステルをモデル化合物として合成して各種多重結合との反応を検討しており、3-ブチン-2-オンなど1つの電子求引基で置換された求双極体を用いた場合に位置および立体選択的に1,3-双極付加環化反応が進行することを見い出している。また、生成物から数工程の変換を経てビシクロコア部分の官能基化に成功した。そこで今年度は側鎖を完全な形で導入したα-ジアゾエステルを合成して1,3-双極付加環化反応の検討を行なった。D-酒石酸ジ-tert-ブチルの水酸基の1つをMPM基で保護し、各種還元剤による位置選択的な還元を試みたところ、水素化ホウ素リチウムを用いた場合に1,3-ジオールが収率良く得られることを見い出した。ジアゾエステル部導入後のMPM基の脱保護は不可能であったが、MPM基を脱保護し、アルキル側鎖に相当するカルボン酸と縮合したのちにジアゾエステルの導入を行なうことでカルボニルイリド前駆体を合成できた。これを3-ブチン-2-オン共存下、酢酸ロジウム(II)と反応させたところ、モデルの基質同様に位置および立体選択的に付加環化反応は進行したものの、その収率は36%であった。このことは側鎖が完全な形で導入されることによりカルボニルイリドを形成するのに適した立体配座をとりにくくなったためと考えられる。そこで現在、コア構造構築後に側鎖伸長を行なう計画に基づき、合成を進めている。
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