研究概要 |
1.先ず基質としてパラニトロフェニル-β-グルコピラノシドを、酵素としてβ-グルコシダーゼを用い、官能基化された種々のアルコールへのグリコシル化を水系で検討した。その結果炭素数が5個程度のアルコールでは、18-25%の収率で目的とするβ-グルコシドが得られたが、n-Octanolのように炭素数が多いものでは、ほとんど成績体が得られなかった。一方炭素数が多くてもジオール類では、約20%の収率で成績体が得られた。 2.次いで基質として無保護のグルコースを、酵素として光架橋性樹脂で固定化したβ-グルコシダーゼを用いて、有機溶媒中で反応を行うことによる反応の効率化を検討した。 (1)基質となるアルコール自身を溶媒として用い反応を行なった結果、炭素数が5個以下のアルコール、ベンジルアルコール及びジオール類では、ほぼ良好な収率(50-68%)で目的とするβ-グルコシドが得られたが、フェネチルアルコール及びn-Octanolのように炭素数が多くなると収率が低下した(14-34%)。また固定化酵素を用いた場合、固定化していない酵素を使用した場合とほぼ同等またはそれ以上の収率でβ-グルコシドが得られ、さらに回収した固定化酵素は、繰り返し使用することが可能であった。 (2)基質であるグルコースを溶解可能で、かつそれ自身は反応しないと考えられるt-BuOHを溶媒として用い反応を行なった結果、上述の基質となるアルコール自身を溶媒として用いた場合よりは収率が低下するものの、8-19%の収率で対応するβ-グルコシドが得られた。 3.上述の酵素的グルコシル化で得られたβ-グルコシドの糖部水酸基をアセチル保護した後アグリコン部の化学変換により、抗アレルギー作用を有する天然配糖体Rhodiocyanoside A,Osmaronin,Sutherlandinの合成に成功した。
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