研究概要 |
修復酵素AlkA(E.coli 3-methyladenine DNA glycosylase II)は、3-methyl-2'-deoxyadenosine、7-methyl-2'-deoxyguanosine、5-formyl-2'-deoxyuridine(fdU)、N6-etheno-2'-deoxyadenosineなどの損傷ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを基質にすることが知られている。本年度はfdUをDickerson配列中に含むオリゴヌクレオチド(5'-CGCGAATfdUCGCG-3')の合成およびそのX-線結晶構造解析、5-formyl-2'-deoxycytidine(fdC)を含むオリゴヌクレオチドの合成と、その性質について検討した。fdUおよびfdCを含むオリゴヌクレオチドの合成は5-(1,2-dihydroxy)-2'-deoxyuridineおよび5-(1,2-dihydroxy)-2'-deoxycytidineを含むオリゴヌクレオチドを合成した後に、これらを過ヨウ素酸ナトリウムで酸化することで合成した。その結果、Dickerson型DNA二本鎖(5'-CGCGAATfdUCGCG-3'/3'-GCGCfdUTAAGCGC-5')中でfdUはAdenine塩基とWatson-Crick型の水素結合を形成していることを明らかにした。fdCがアデニン、チミン、シトシン塩基と対を形成した場合、二本鎖DNAの熱的安定性は大きく低下することを明らかにした。また、fdCを含むオリゴヌクレオチドをテンプレートとして、大腸菌DNAポリメラーゼIのKlenow fragmentによる鎖伸長反応について検討したところ、fdCに対してdGMPが取り込まれにくくなっていること、TMPの取り込み頻度が上昇すること、配列によってはdAMPの取り込み頻度が上昇することを明らかにした。
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