1 G蛋白質共役受容体のリガンド探索法として、受容体とG蛋白質G16のαサブユニット(G16α)との融合蛋白質をCHO細胞に発現させ、融合させたG16αを介した細胞応答(細胞内Ca^<2+>上昇及びプロスタグランジンE_2(PGE2)産生)を測定することにより、簡便に大量のリガンド候補物質の検索ができる方法を開発した。この方法は、リガンド検索に使い易い方法がないGi共役受容体に特に適しており、受容体とG16αを共発現させる方法よりも感度が高い。Gi、Gq及びGs共役受容体で適用可能なため、共役するG蛋白質の予測が困難なオーファン受容体にも有用である。Gs又はGi共役受容体の場合、導入した受容体のサブタイプが細胞に内在性に存在しても、G16αを介する細胞応答のみを観測できるため、サブタイプ特異的リガンド探索にも適している。具体的には、Gi共役受容体(CX3Cケモカイン受容体(CX3CR)、m2ムスカリン受容体)の場合、受容体単独発現では、アゴニスト刺激に伴う細胞応答はほとんど見られなかったが、融合蛋白質では、著しい細胞応答が観測され、融合させたG16αとの共役が示された。また、融合蛋白質では、受容体とG16α共発現より感度が高く、共発現では観測し難い場合でも著しい細胞応答を観測でき、G16αとの共役効率が高いことが示唆された。Gq共役受容体(ウロテンシンII受容体(UIIR)、m1ムスカリン受容体)の場合、受容体単独で大きい細胞応答が観測されたが、融合蛋白質では、受容体単独や共発現と同程度か、さらに大きい細胞応答が観測された。 2 CX3CR-G16α融合蛋白質のPGE2産生に関与する分子種を明らかにした。 3 UIIRの新規リガンド(ペプチド1種、低分子3種)を同定した。 4 オーファン受容体(新規12種、既知11種)をcDNAクローニングした。上述の方法を用いてリガンド探索を行う予定である。
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