Rat migration inhibitory factor-related protein 14(MRP-14)が炎症慢性化におけるケミカルメディエーターである、特に線維芽細胞増殖に重要な役割を果たす、という観点から以下に示すような実験を行った。 1.Native rat MRP-14の大量精製:ラットカラゲニン空気嚢炎症の慢性期滲出液(Day-7 exudate)より陽イオン交換カラム、陰イオン交換カラムの各結合画分、また、滲出液の硫安分画における、高溶解度、低溶解度画分をそれぞれ調整し、これらの増殖促進活性を検討した。このうち、硫安分画における高溶解度画分には用量依存的な強い増殖活性が認められたものの、直ちに失活する傾向にあった。Day-5 exudateを用いた場合においても同様の結果を得た。イオン交換体結合画分を調整した際の、担体、緩衝液のpHには検討の余地があると思われ、また一方で、MRP-14が線維芽細胞やマクロファージに対して好中球走化性因子産生促進活性を有する、という予備データもあることより、この活性を精製の指標とすることも含め、精製方法を再検討のうえ、現在精製を行っている最中である。 今後、平成13年度においては引き続き、nativeなMRP-14を精製した上で、その生物活性、すなわち、線維芽細胞増殖促進活性、および好中球走化性因子産生促進活性を検討する予定である。
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