電気生理学実験により子宮をはじめとする各種平滑筋の収縮調節機構に多くのイオンチャネルやトランスポーターが寄与することが明らかとなっている。また、K^+チャネル開口薬は抗高血圧薬、抗不整脈薬といった循環器疾患作用薬としての適用だけでなく、切迫早産治療薬、抗気管支喘息薬、尿失禁抑制薬としての開発が期待されている。本研究では各種平滑筋(子宮を含む)に発現する電位依存性K^+チャネルの分子同定、発現分布、機能的集積を検討した。また、新規K^+チャネル修飾蛋白を単離し、発現分布を検討した。 30種類以上単離されているK^+チャネルサブタイプのうちラット各種平滑筋において主に5種類[早期不活性化(Kv4.3)、遅延整流性(Kv1.2、1.5、2.1)、Ca^<2+>活性化(BKα)チャネル]が発現しており、膜興奮性により発現分布が異なっていた(研究発表参照)。また、輸精管のような興奮性の高い内臓平滑筋細胞ではBKチャネル蛋白が細胞膜に集積して機能的クラスターを形成していた(研究発表参照)。妊娠子宮平滑筋におけるK^+チャネル遺伝子のup/down-regulationやBKチャネル蛋白集積の変化に関しては現在進行中である。最近、早期不活性化K^+チャネルを機能修飾するK^+ Channel-Inteacting Protein(KChIP)が単離された。本研究では心筋に特異的に発現する新規KChIPを2種類単離するとともに、平滑筋に発現するKChIPサブタイプを同定した(投稿中)。KChIPは早期不活性化K^+電流密度を増大させるため妊娠後期や心筋梗塞時の早期不活性化K^+電流の減弱にはKChIPのdown-regulationが寄与する可能性がある。
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