研究概要 |
マクロファージ(MP)の活性化物質として知られる各種サイトカインを単独或いは併用でMPを刺激し、細胞内NADPHの蛍光oscillation変化を蛍光強度(amplitude)と振幅巾(frequency)の両面から単一細胞のレベルで解析し、活性化物質を作用別に分類することを平成12年度の研究目的とした。 サイトカインとしてinterferon γ,TNF-α,IL-1β,IL-2及びIL-6を用いて、MP細胞株或いは腹腔MPの培養に添加して、ガラスベースディッシュに付着させた状態で、単一細胞のNADPHの自家蛍光を蛍光顕微鏡にて観察した。蛍光データは冷却CCDカメラからコンピューターに取り込み、デジタル化したのちフォトンカウンティグによるoscillation curveを作製することで、amplitudeおよびfrequencyを算出した。その結果、IFN-γは未刺激のMPとfrequencyの点では同等であったが、amplitudeをほぼ3倍高めることが示された。一方、IL-2やIL-6はそれら単独では変化させないが、IFN-γ前処理によりfrequencyが2倍に上昇した。TNFαやIL-1βはIFN-γ前処理後も全く変化しなかった。IFN-γによるamplitude変化はタンパク質の転写レベルでの活性調節を受けていることが示唆された。IL-2やIL-6によるfrequency変化は即時的に誘導されることから、STATなどのシグナル伝達に依存しない別の経路により調節されている可能性が示唆された。本方法を用いることにより、リアルタイムに細胞の活性化状態を客観的に評価でき、NADPHの変化パターンから作用別に活性化物質を分類できる可能性が高まった。 次年度は、各サイトカインのシグナル伝達におけるクロストークとNADPHの代謝振幅変化との関連性を検討する予定である。
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