1.人工ヌクレオシド(BNAモノマー)の効率的な合成系路の開拓 既に申請者らは糖部の立体配座をN型に固定化した人工ヌクレオシド(BNAモノマー)を始めとする各種ヌクレオシド類縁体の合成に成功している。しかし実用化を念頭に置いた人工核酸類の創製研究には比較的大量のヌクレオシド類縁体の合成が必要となるため、本年度は、安価でかつ大量合成にも適した合成系路の開拓を行なった。これまでの経路では出発原料として比較的高価な天然のリボヌクレオシドを用いていたが、ここでは安価で大量に入手可能なD-グルコースを出発原料として用いる経路について検討を加えた。その結果、D-グルコースから導いたジアセタート体を共通中間体とし、これに対し天然型、非天然型核酸塩基を導入する効率的経路の確立に成功した。本経路の確立により、各種核酸塩基を導入したBNAモノマー類の大量調製が可能となった。 2.BNAを素子として用いた人工アンチセンス・リボザイム分子の合成 上記合成経路によって得られたBNAモノマー類を、常法に従いアミダイト体へと導いた後、DNA合成機によりオリゴヌクレオチドへと導入した。ここで標的とした配列は、ガン関連遺伝子のmRNAに対して相補的なアンチセンス配列、SHELX法によりその活性が見い出されてきたDNAzyme配列、及び、ホモプリンーホモピリミジン配列を有する二重鎖DNAに対し三重鎖を形成させるためのTFO配列である。これらの配列中の任意の位置にBNAモノマーを導入した各種人工オリゴヌクレオチド類を効率的に調製することに成功した。 次年度はこれら人工オリゴヌクレオチドを用いた遺伝子発現制御について詳細な検討を進める予定である。
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