研究概要 |
1.マウス肝細胞をスフェロイド培養系に移した場合、CYP1A2、CYP2B9/10などは単層培養に比べ、長期間高いレベルでの発現が可能であったが、CYP3A分子種の場合は培養開始後1日でmRNAレベルは大幅に低下した。しかし、少なくとも培養開始から5日間は低いながらも常在的発現は維持されていた。発現レベルの低下のは分子種により異なり、3A11、3A16および3A41は培養開始から1日で肝臓レベルの約10%に低下したが、3A13は肝臓のレベルの50%以上を維持した。CYP3A41の発現の性差は少なくとも培養開始から5日間は維持され、その発現はメス由來の細胞のみに観察された。これらの結果は発現レベルは低下するものの、常在的発現並びに性特異的発現に関わる機構はスフェロイド培養系でも維持されていることを示唆している。 2.CYP3A誘導剤(デキサメタゾン、プレグネノロン16αカルボニトリル、リファンピシン)によって強く誘導されることがin vivoの試験で明らかにされている3A11、3A13の誘導がメスマウス由来の肝細胞において確認され、本培養系がCYP3A誘導の試験系として利用可能であることが示唆された。 3.マウスゲノムDNAライブラリーよりCYP3A41遺伝子の単離を試みたが、偽遺伝子を含む類似クローンが多く、CYP3A41遺伝子クローンの同定には至っていない。現在はLA-PCR法を用いたGenome Walker Kitを用いた単離を試みており、候補となる遺伝子断片の増幅に成功している。 4.CYP3A41以外に新たなメス特異的CYP3A分子種を発見しクローニングに成功した。その分子種はP450国際命名委員会においてCYP3A44と登録された(Accession No.in DNA data base(DDBJ),AB039380)。
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