本研究の目的は、いかに少ないX線被曝で、どれだけ多くの診断情報を取り出せるかにある。昨年度、日本国内で普及しつつある間接変換方式のCanon製のフラットパネルセンサー(CXDI-11)から直接画像dataをDICOM画像サーバーを用いてし、現有の計算機へ転送し大容量のデジタル画像を解析できるシステムを構築した。そのシステムを用いてCXDI-11の応答特性、管電圧特性、画質特性等の物理特性を中心に解析した。本年度はこのシステムを用いて、アモルファスーセレニウム(a-Se)半導体を用いた直接変換方式フラットパネルセンサーHologic社製DirectRayの物理特性(X線感度の撮影電圧特性、MTF・NEQ等の画質特性等)、および画像処理方法の詳しい解析を進めた。その結果、直接変換方式であるDirectRayは間接変換方式であるCXDI-11に比べ高感度、高鮮鋭度であること、使用する管電圧により感度特性があるが鮮鋭度は変化しないこと、高感度のため量子ノイズの影響を受けやすいことがわかった。この結果を踏まえて、医療被曝大幅低減X線撮影システムのセンサーには直接変換方式の方が適していると判断し、現在DirectRayを用いたシステムを再構築している。 また、医療被曝大幅低減X線撮影システムを臨床応用するため、ファントムを用いて最終チェックを必要があるが、市販のファントムでは違和感があり十分な結果は得られない。そこでより人体に近い胸部ファントムの作成を目指し、試行錯誤を重ねやっと満足のいくものを作り上げた。このファントムを用いていろいろなパラメータを調整中である。
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