平成14年4月の開院に向けて現在も新築中の、九州大学医学部附属病院の新病院建物の内部及び周辺において、病院建物の外から侵入する電波の電界強度測定を、低層階・中層階・高層階で行った。その結果、建物周囲の電波発信源から放射された電波が、建物内でも国際規格に定められた医用電子機器の安全規格の限度値を超える強い電界強度を生じる程度の強さで侵入していることを明らかにした。また、45度単位で各方角から侵入する電波の電界強度を探ることによる強出力電波発信源の推定方法を開発し、九州大学医学部附属病院の建物外部から侵入している強い電波の発信源を福岡国際空港の空港監視レーダーと特定した。以上のように、医療機関において現在だけでなく将来も必要となるべき具体的な電磁環境の調査方法と、これら建物外部から侵入する電波に対する対策について、1つの論文としてまとめて発表した。 次に、医療機関内においてPHSなど低出力の移動体通信システムを利用することの利点と具体的な利用方法、および安全な導入方法をまとめ、論文として発表した。 さらに、建物や、特に医用電子機器を保護すべき区域の入り口において非侵襲的に携帯型電話端末を発見する装置について設計を行い、その動作と有効性を理論的に検証し、有効であることを確認した。その上で、この装置の動作と有効性を論文として発表した。さらに、試作品作成に向けて必要となる技術及び性能について具体的検討を行った。
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