NTT法で使用するための甲状腺癌由来のcDNAライブラリーを作製するため、正常甲状腺組織、乳頭癌、未分化癌組織各1例の新鮮な手術標本を入手し直ちに凍結保存した。AGPC法にてtotal RNAを抽出後、さらにoligotex-dT(Takara)を使用して、polyA選択を行った。2μgのmRNAを抽出してそれぞれのcDNAライブラリーを作製し、プラスミドベクターに接続して大腸菌に導入した。各ライブラリーのクローン数を計測した結果は約200万クローンであった。大量のcDNAを回収するため、固相にて一回増幅した。増幅後のプラスミドベクターをカラムにて精製した。各30μgのプラスミドライブラリーを制限酵素処理してインサートを切断、アガロースゲルにて泳動後、インサートと思われる1.5-4.0bpのバンドを抽出してガラスパウダーにて精製した。またNTT法にて酵母に導入するためのベクター(pNS)を作製し、大腸菌に導入して増幅後、カラムにて精製した。制限酵素処理後、cDNAとつなげて酵母に導入したが、2週間後に選択培地で生育した酵母クローンをカウントしたところ各組織あたり数10個しかなく、酵母でのベクターの導入効率が悪いことが推測された。今後さらに導入するベクターの精製度を高め、酵母における遺伝子導入効率を高める検討をすることで方法に改良を加え、塩基配列解析に十分な数のクローン数を回収する予定である。
|