石川県内で暮らす在日外国人の動向をまとめた基礎的資料は少なく、本年度は外国人登録から年次別、地域別、在留資格別にその傾向を把握した。その結果、石川県は全国と比較すると全人口に対する外国人登録者割合は低いものの、登録者数は増加を示していた。また地域により国籍別、在留資格別の特徴があることが明らかとなり、各市町村による独自の取り組みの重要性が示唆された。その中でも、当温泉地区を有する加賀市においては、フィリピン国籍者の割合が他の地域と比較すると高く移行していた。また隣接の小松市では、近年の日系ブラジル人の急激な増加、同じ保健所管轄内の辰口町では留学生の増加などが特徴的であった。この結果については、平成13年3月発行の北陸公衆衛生学会誌に投稿し採択されている。 フィリピン人母子のデータを市の健診カルテから得る事ができず、健診時の育児・健康状態についてはまとめることができなかった。地元の支援団体などもなく、フィリピン人母子へのコンタクトは困難を極めているが、13年度も引き続き介入方法を模索していく。さらに小松市における日系ブラジル人に着目し、同様に母子の抱える健康問題の傾向を明らかにし、国籍による育児を取り巻く状況の違いを比較していく。日系ブラジル人は、ほとんどが就労を目的とした滞在であり製造業に従事しているが、斡旋会社を通して下請け会社に雇用されているケースが多いため、十分な健康管理とその実態把握が行われているとは言い難い。ある大手企業の保健管理センターと連携をとり、就業者の経済的、社会的、文化的背景が健康に及ぼす影響と、日本での育児の際に生じる問題について明らかにするため、現在質問用紙を作成中である。
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