同性間の性的接触によるHIV感染者、およびHIV担当看護婦として病院内で位置付けられている看護婦を対象として調査を行った。 感染者の抱える問題として『感染露見に関連する問題』『サポート形成に関連する問題』『就業や経済に関連する問題』『疾患に関連する問題』『抗HIV薬の服薬に関連する問題』『感染予防に関連する問題』『生活支援に関連する問題』『医療者・医療体制に関連する問題』の8つの問題が大きく挙げられた。HIV担当と病院で位置付けられている看護婦の勤務状況は、その施設によって様々であった。外来副婦長として一般外来との兼任業務の中でHIV感染者に優先的に関る体制をとっている施設もあれば、まったくのHIV感染者に専属という形で勤務している看護婦もいた。勤務体制には違いがあったが、感染者に継続して関ることができる、HIV感染症に関する治療や福祉に関連する知識を持っている、という点では共通していた。患者が認識している担当看護婦の関りの内容からは、『危機介入』『自己決定への援助』『療養生活継続への援助』『生活環境の調整』がHIV担当看護婦の介入内容として挙げられ、これらの介入を通じ、感染者の生活の質の向上をもたらしていることが明らかとなった。これらの関りは、看護婦が継続して一人の感染者と関っているため、患者の生活の状況や変化、身体状況の変化などがとらえやすく、患者からも担当看護婦として認識されていることで患者と医療者とをつなぐ窓口となっていること、またHIV感染症に関する、治療や福祉の知識も持っているために感染者へ的確なアドバイスが出来やすいこと、といったいくつかの条件が影響していると考えられた。一方で、担当看護婦の抱える問題として、兼任業務であることからくる時間的制約やHIV看護婦としての自分の他看護職や他医療者への認知といったことが挙げられた。
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