平成12年度の研究活動は、各対象国における出稼ぎ看護労働者の歴史的推移(出移動)と米国へのNurse Migration(入移動)について資料の収集を行った。フィリピン国における対応と現状については、現地調査を実施し関係者への面接聞き取り調査と資料の収集を行った。韓国とわが国、米国については、資料の収集と整理を行った。その結果、新たに収集できた資料は、フィリピン国については24編、韓国15編、わが国3編、米国10編であった。また、フィリピン国での面接は、看護教育における指導的立場の人々および看護実践者の計5名に実施した。この結果、フィリピン国と韓国においては、国際看護連盟(ICN)によるExchange Visitor Program(EVP)や米国のロックフェラー財団が重要な役割を果たしていたことが明確になった。そこで、当事国の保健政策や労働需要だけでなく国際医療機関等の関与が明確になり、次年度資料収集範囲については、より広範囲な資料の収集が必要になっている。 さらに、移民についても17編の資料を収集した。その結果、出稼ぎ看護労働者を、先行研究における労働力の国際移動や海外就労活動の中でどのように位置づけられるか、用語に関する定義の明確化や看護分野における特性を併せて分析する必要性が確認された。そこで平成13年度は、各国における医療専門職に関する供給システムの把握と労働力需要について分析することに重点をおいて資料収集や面接調査を行う予定である。
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