代替医療は、一つのセルフケア行為と考えられるため、今回はセルフケアが特に濃厚に自主的に取り組まれると考えられるがん罹患直後の家庭生活に焦点を当てることとし、乳がん患者を対象に、診断の時期から手術後にかけての家庭での生活に関してインタビューを行った。対象は7名の女性で、乳房切除術を受けたもの3名、乳房温存術を受けたもの4名であった。 代替療法に非常に積極的に取り組んでいたものは1名のみであったが、何らかの興味を持ったり、食事や栄養食品等について試したりしたものは5名で全く興味を示さなかったものは1名のみであった。 生活全般と、その中での自らの健康についてのとり組み〜代替療法についてのとり組みを検討するなか、家族の態度や考え方が大きく関わっていることが示された。そのため、特に家族とのやりとりについて取り上げ検討した。 患者は手術にためらいを感じ、代替医療に魅力を感じたとき、家族の考えを遠回しにうかがうという言動を行っていた。しかし、手術を本当は受けたくない、民間療法にかけてみたい、といった考えは家族に波風を立てる可能性があるため、隠されており、その結果家族は患者の思いに気づかず、理詰めで説得し、たしなめるなどの行為をとっていた。その結果患者はあきらめて手術を受けることにしながらも、できる範囲で自発的に代替医療にとり組んでいた。そして家族にわかってもらえないことに悲しみや怒り、孤独感を感じていえることが示された。このように代替療法は何となく後ろめたさを伴うことが示され、病院で行われる正規治療との両立、調整が看護にとって課題と考えられる。
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