東南アジアに位置するラオスの農村地域では出産後「Yu-kham」と呼ばれる、看護ケアに関わる慣習が現在でも広く一般に行われている。この習俗は、産後に母体を保温する、食物の種類を制限する、伝統的な薬を飲むなどであることが申請者の先行研究により、確認されている。 本年度は、その他のアジア諸地域の出産・育児に関する伝統慣習、特に産後の慣習について文献収集を行い、先行研究について知見の整理を行った。 その結果、カンボジア・インドなど、かなりの地域において同様な慣習が存在し、また産後に身体を温める習慣があることも理解された。 さらに、ラオスでの申請者自身の先行研究をもとに、現地において都市部での伝統的慣習の存在(特に「Yu-kham」焦点を当てて)とその変容の把握を目的として調査を行なった。対象は、ラオスの首都ビィエンチャンにある国立マホソット病院で働いている看護婦16名であり、産後の慣習についての聞き取り調査を行った。 その結果、都市部においては、病院での出産がほとんどであったが、「Yu-kham」を行なう事例が多かった。しかし、その方法などは、農村部において伝統的行われている方法よりも簡素がされており、この変容について考察を加えた。また、この調査については、国際看護科学学会にて演題登録の申請中である。
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