研究概要 |
認知行動療法を応用した透析患者の水分管理プログラムを開発し、このプログラムが1)患者の透析間の行動目標を達成させ、2)一日体重増加率を減少する効果があるか否かを検証することを目的とした。対象は、通院透析を受けている10名であった。方法は、介入前の基準となるベースライン期4週間、認知行動療法の行動強化法、セルフ・コントラクト法、セルフ・モニタリング法の3技法を組み合わせて介入を実施した介入期6週間,さらに4週間のフォローアップ期のプログラム実施である。介入期における透析間の行動目標の達成頻度は、全透析18回中平均11.7回(65.0%)であったことから、プログラムは透析間の行動目標を約65%達成させることが示唆された。一日体重増加率は、分散分析の結果、F(2,18)=10.21、p<0.01で介入の効果は有意であった。さらに、多重比較を行った結果、一日体重増加率はベースライン期と介入期の間(p<0.01)、ベースライン期とフォローアップ期との間(p<0.05)で有意差があったことから、プログラムにより一日体重増加率を減少する効果があり、介入終了後4週間は維持されることが示唆された。したがって、今回認知行動療法を応用して開発した本プログラムが、水分管理に関係する行動に影響を与え、一日体重増加率を減少する有効性が確認された。 現在は、同一プログラムを血液透析患者に適応すると共に、プログラムの適性について患者の心理的特徴や家族背景、透析歴からの検討を行っている。また、認知行動療法の中でも患者同士の意見交換会や交換日誌によるピアラーニングを活用したプログラムによる、水分管理の改善に取り組んでいるところである。
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