本研究の目的は1)変化の少ないケースに対する標準診療・看護過程原案(クリティカル・パス)の作成、2)患者のQOLと満足度の自記式質問紙と患者記録調査からの2つの方法による患者の満足のいく治療プログラムに対する実態調査、3)治療プログラムや、診療、ケアの過程の違いが患者のQOLと満足度にどのように関連しているかを明らかにし、クリティカル・パス原案を評価することであった。米国の実施例と比較して患者の満足度との関連についての検討を加え、さらに精神科看護の質の向上に対するケア技術、看護管理のモデルを検討することであった。 本年度は、入院中の精神科患者に対し、協力を得られた人に、患者のQOLおよびケアの満足度調査、また薬物療法に対する説明やその受け止め方とケアに関する調査を実施したが、患者の個人差や背景による分析まで至らなかった。また、施設による治療プログラムの違いが患者のQOLにどう影響しているかについては検討中である。一方、協力が得られ、変化が少なく標準とできそうな患者を選定し、その標準診療・看護計画(クリティカル・パス)を作成したが、患者の目標にも個人差があり、十分に標準化した計画にするまでには至っていない。米国の精神科病院のクリティカル・パスの使用方法や、現状については示唆を得て、作成した案との違いをさらに検証していく予定である。また調査をふまえ患者にとってQOLを高める治療プログラムとケアについて提言し、標準看護計画としてのクリティカルパスを開発する予定である。
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