研究概要 |
本研究は、医療機関を利用している日本人中高年者の医療ケア上の自己決定の認識と行動の実態及びその影響要因を明らかにし、患者の自己決定を有効に活用した医療サービスを提言する事を目的としている。 平成12年度は、1)概念枠組みの構築と調査票作成、2)調査票を用いた予備調査を実施した。 1)概念枠組みの構築と調査票作成:「意思決定」「自己決定」に関連する文献検討と、聞き取り調査の結果に基づき、意思決定に対する個人の認識と、意思決定行動との関連、それに影響を及ぼす複数要因について検討した,この結果、意思決定に対する個人の認識をみる指標として、"Autonomy Prefarence Index(API)"(自律性尺度)を、人口学的変数や、健康状態、罹患状況以外の影響要因をして"Health Locus Of Contorol(HLC)"に着目し、これら既存の尺度をおりこんだ調査票を試作した。"Autonomy Prefarence Index(API)"(自律性尺度)は、健康な成人を対象に、患者の意思決定度と情報希求度の2側面から構成されており、これまで日本においても研究に活用された例があった。しかし、重症度の異なる疾患に罹患していることを想定した状況設定質問という形式をとっているため、本調査票の作成にあたっては、対象への妥当性を考慮し一部修正した。 また、"Health Locus Of Contorol(HLC)"も、複数の研究者によって開発がすすめられているが、信頼性、妥当性の面から、最も本研究に適用できると推察されたものを選択し、言葉の表現等を一部修正した。 2)質問紙を用いた予備調査の実施:平成12年11月〜平成13年3月に、首都圏にある1医療機関において、入院中の35歳以上75歳未満の中高年者を対象に、作成した調査票を用いて、プレテストを実施した(継続中)。今後はプレテスト(一部リテストも実施している)の結果に基づき、調査票の内容や、表現などの修正を行い、安定性を検討して、本調査用の調査票を再作成する予定である。 なお、平成13年度は、この調査票を用いた本調査を実施予定としている。
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