本研究は、外来で放射線療法を受けるがん患者が、治療期間中に自らをどのように捉え、今後のがんと共に生きる生活に向けて、どのようなコントロールを行おうとしているのかを明らかにすることを目的として行った。研究対象は、関西地区の癌専門病院において病名病状が告知され、外来で放射線療法を受けるがん患者で、意志疎通に問題がない成人女性のうち、研究参加の同意が得られたものとした。調査内容は、国内外の放射線療法を受けるがん患者に関する研究やセルフイメージ、セルフコントロールに関する文献検討を基に、患者の特性に関する情報、病名・治療に関する受け止め及びそれについての思い、治療への期待、治療後の生活への思いなどとし、データ収集は放射線療法の治療期間中に半構成的質問紙を基にした面接法及び診療記録、看護記録から対象の特性に関する情報を収集した。 結果、対象は乳癌の手術を受けた女性8名で、平均年齢48.8才(36〜63才)、乳房切除術を受けた対象が2名、温存術が6名であった。術前に化学療法を受けた対象が2名であった。術後1〜1.5ヶ月頃より放射線療法が開始され、全員が照射回数25回総照射量は50Gyの治療を受けていた。面接は、放射線療法を受けている期間に2〜3回行った。逐語録からの質的な分析から、外来で放射線療法を受けるがん患者は、放射線療法が始まる時期には予定通りの治療が始まるという認識のもと、違和感なく医師の指示通り行われる放射線療法を受け止めていたが、治療が進むにつれて、この治療を受けるのは自分自身であって、症状のコントロールや生活を調整していくのは自分であると意識するようになっていた。治療の終了が近づいてくると、これからの生活や再発の可能性などへの自らの不安や影響を受ける家族らへの調整を行っていることが明らかとなった。 今後はさらに詳細な分析と考察が必要であると考える。
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