1.研究目的 本研究では、現在、病院においてどのような看護記録用紙が使用され、どのような内容の記録がされているか、またその形態はどのようなものであるかの実態を調査・分析し、チーム医療の促進、患者等への情報開示、インフォームドコンセント等の視点からその問題点を抽出して、情報開示に向けて看護記録はどうあるべきかの提案をすることを目的とする。 2.研究方法 1) 文献調査 情報開示を早くから行っている欧米の看護記録を中心に、どのような基準が設けられ法制化されているのか、また、どのような形で開示をしているのか、開示に伴いどのような問題点が生じているのか等を文献にて調査する。 2)実態調査 現在、どのくらいの病院が情報開示をしているかの実態を調査する。情報開示を実施している病院に対し、看護記録用紙および記録内容を調査するとともに、医師の診療録、その他の検査記録など情報開示の際に対象となる他の記録物と看護記録がどういう形で保管されているのか調査する。また、何をどこまで開示しているのか、開示に至った経緯と現在の問題点を看護職へのインタビューを通して調査する。 3) 問題点の抽出 実態調査と文献調査で得られた結果を比較、分析し、現在の状況を明らかにするとともに、看護記録に求められる法的・倫理的義務を明らかにする。そして、情報開示ができない看護記録に対して、その問題点を明らかにする。 4)看護記録の改善への提案 明らかになった問題点に対し、どのように改善すれば良いかを検討し、情報開示に向けて看護記録はどうあるべきかの提案をする。 3.結果 文献にて、わが国における診療録開示の状況および開示に至るまでの経過を調査した。さらに、来年度4月から診療録を開示する予定のK病院と、看護計画の開示を以前から行っているS病院を訪問し、実態を調査した。 来年度は、診療録開示を早くから取り入れている2つの病院を訪問調査するとともに、アメリカにおける情報開示の状況を調べるために、ベスイスラエル病院を訪問する予定である。
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