昔からの言い伝え通り、「冷え性の産婦は難産になるのか?」という問いを元に本研究を進めている。自然に陣痛が発来した正期産の産婦を対象に中枢(前額)・末梢(足背)の深部温を連続測定し、必要時足浴または足部マッサージを行うというスタイルで研究を開始した。調査施設と交渉の結果、一施設にてデータ収集を行うこととなった。本年度は、データ収集を中心に行う計画で、1月31日現在で5例のデータを得ている。(継続中) 経産婦4例、初産婦1例で、入院直後または数時間後から測定を開始し、児娩出時まで継続して2ポイントでの温度を測定するとともに、本人の冷え性の自覚や分娩経過を記述した。その結果、分娩進行が停滞しかつ末梢の冷えがあって足浴を実施したのは1名のみであった。この時、本人には冷えの自覚はなかった。冷え性の自覚については、非妊時には自覚があったものの、妊娠後は気になっていないという者がほとんどであった。 現段階では5例のみのため、統計的に分析することは難しい。今後もデータ収集を継続し、例数を増やして分析・検討を行う予定である。これまでの研究結果との比較からは、室温はほぼ変わらないものの冷房を使用する夏季の方が、冬季よりも末梢温が低下するケースが多いという感触があった。(今回冬季に測定した対象産婦は5名とも、靴下を履いたまま分娩に臨んでいた。それが影響している可能性もある。)今後は測定時期による比較も行っていく予定である。
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