研究概要 |
本研究は、地域の精神障害者への家庭訪問における.保健婦と福祉職の専門性を明らかにすることを目的としている。平成12年度は、神奈川県内の保健福祉事務所より保健婦と福祉職が同行訪問している事例2例に研究者も同行し、参加観察を行なった。また、保健婦、福祉職各2名に対してインタビューを実施し、各々の考える専門性や連携のあり方について聞き取り調査を行なった。これらの調査から得られた現段階での知見は以下の通りである。 1.保健婦は身体合併症のある精神障害者に対して、あるいは身体症状からのアプローチにおいて、能力を発揮しており、福祉職もそれを保健婦に期待している。 2.事例へのかかわりの中心的存在は福祉職におれており.保健婦もそれを認めている。 3.役割分担はした方がよいが、同時に明確な区分けは難しいと考えられている。 4.保健婦も福祉職も、患者の意志、自己決定、人権の尊重を重要視している。 5.保健婦と福祉職両者は、日常的に情報交換を重ねることがよい連携につながっていると考えている。 調査依頼の段階で、神奈川県内であっても各保健福祉事務所によって精神保健福祉事業に対する業務のシステムがかなり異なっていることがわかったので.本研究の基礎調査として.県精神保健福祉センターでの聞き取り調査および必要に応じて各保健福祉事務所のシステムに関する郵送によるアンケート調査を追加して平成13年度に行なう。そして、さらに調査事例を増やしてデータ収集を重ね,知見をより確実なものへとしていく。
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