研究概要 |
本研究ではプロトンNMR法を用いてヒト骨格筋内における脂肪量と性差、体組成、体力との関係について検討した。被験者はBMIが同程度の一般青年健常男女(男子;7名、年令;21±1.8才、%FAT;17.9±1.2%、BMI;20.5±1.7kg/m^2、最大酸素摂取量;46.4±5.0ml/min/kg、女子;7名、年令;19±0.8才、%FAT;26.2±1.7%、BMI;20.4±1.4kg/m^2、最大酸素摂取量;38.3±2.0ml/min/kg)14名であった。実験ではプロトンNMR法を用いて非浸襲的に前脛骨筋(TA)、内側腓腹筋(GM)、ヒラメ筋(SOL)の筋細胞内脂肪(IMCL)と筋細胞外脂肪(EMCL)のスペクトルを同定し、水信号を標準とする内部標準法にて1cm^3の関心領域における筋組織内の脂肪量を求めた。筋内脂肪量は%FATとの間に相関関係が認められたことから、体脂肪と密接な繋がりがある。体力との関係についても、最大酸素摂取量との間に負の相関関係が認められたことから、筋内脂肪量の増加は体力を低下する危険因子として考えられた。性差についてみると、TAのIMCLとEMCLの値には男女間において有意な差が認められなかった。しかし、SOLとGMのIMCLとEMCLは女子の値が有意に高かった。各筋群におけるIMCLの値は男女ともにSOL>GM>TAの順に低い値を示し、SOLのIMCLはGMとTAの値に比較して有意に高かった。各筋群におけるIMCLの値は男女ともにSOL>GM>TAの順に低い値を示し、SOLのIMCLはGMとTAの値に比較して有意に高かった。一方、EMCLの値は男子においてGMの値が最も高く、GM>SOL>TAの順で、女子ではSOL>GM>TAの順に低い値を示した。ヒラメ筋と内側腓腹筋の脂肪量(IMCL,EMCL)は女子が男子より高い値を示したが、前脛骨筋の脂肪量には明らかな性差が認められなかった。以上のことから、筋肉の種類によって蓄えられる脂肪量に差異が認められることや、性差があることが明らかになった。
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