本研究は、脳波(SPN)で「やる気」を測るシステムを構築することが、研究の目的である。 本年度における研究目的は、SPNのやる気指標としての有効性の確認をとることであった。課題を遂行するときに報酬をもらえる条件(すなわち「やる気」の高い条件)下ではSPNの振幅が大きくなることは、すでに示されているが、課題に関する情報量がこれまでの実験条件下では統制されていないのではないかという問題が指摘されていた。そこで、本年度の実験では、課題に関する情報量を統制した上で、やる気の程度を操作し、(報酬有りvs報酬なし)、SPNの振幅を測定した。 課題は、delayed-feedback paradigmを用いて自分が行ったパフォーマンスに関するフィードバック(パフォーマンスが正しかったか否かという結果情報)を受けるという課題を用いた。脳波、国際式10-20法に従って、頭皮上10箇所から記録した。被験者は、成人男性及び女性12名であった。SPNはフィードバック刺激前200ms間の平均脳波電位とした。また、やる気を高める条件では、課題を正確に遂行した場合、1試行につき50円の報酬を与えるようにした。 その結果、課題に関する情報が少ない場合でも、多い場合でもともにやる気の程度の違いがSPNの振幅の差に反映されることが示された。さらに、特に課題に関する情報量が多い場合には、よりSPNの振幅にやる気の程度の違いが反映されやすいことが示された。また、フィードバック刺激の刺激様式(音か光か)による違いもSPNに反映されることがわかった。 以上のことより、SPNがやる気の指標となりうることが再度確認された。
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