研究概要 |
短距離(100m)走に関してスピード、ピッチおよびストライド長や動作分析といったバイオメカニクス的見地からの視点と疾走中の脚骨格筋の酸素化レベルや血液量などの生理学的見地からの2つのアプローチにより、短距離走中のエネルギー代謝の理解を深め、効率よい走り方とは何かといったことの特定が可能となると考えられる。本年度では、1歩1歩のスピード、ピッチおよびストライド長を測定できるようなシステムの構築およびそれらと100走全力疾走中の脚筋の筋内酸素化レベルや血液量を測定可能かどうかを確認し、上記装置のスピードやピッチの装置との同期に関する検討を行った。 まず最初に、100m全力疾走を行わせた際のスピード、ピッチおよびストライド長のデータ収集可能であることを確認した。同時に脚筋の筋内酸素化レベルや血液量の測定(HEO-200,オムロン社製)を実施し、同期が可能かどうか検討した。対象部位は右腿の外側広筋とし、酸素動態を装置最小時間分解能である0.5秒で測定した。メモリーカードに記録されたデータの解析を行ったところ、疾走開始して数秒の間、血液量は減少するものの酸素化Hbの増加がみられたが、その後、すぐに脱酸素化Hbの増加がみられ、100m疾走時における筋細胞内の明確なhypoxia状態が観察さることができた。ほぼ同期がとれることも確認できた。したがって、本年度の目的はほぼ達成することができたので、今後は、1歩1歩のスピード、ピッチおよびストライド長と酸素動態との関連性について、データ収集を行い検討を加え、短距離(100m)走に関するメカニズムを生理・バイオメカニクスの観点から明らかにする予定である。
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