研究概要 |
継続的な運動が生体内の免疫機能調節に及ぼす影響については人,実験動物を対象とした研究により数多く報告されているものの,唯一の統一的見解がナチュラルキラー(NK)活性の亢進であり,そのメカニズムについては未だに不明である.そこで我々は運動時の視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系を介する応答による副腎皮質ホルモンの分泌亢進に注目し,副腎皮質ホルモンであるグルココルチコイド(GC)連続投与による細胞性免疫機能(NK活性)の変化を測定した.その結果,0.1mg/kg/dayのGCの5日間連続投与により細胞性免疫機能の亢進を確認した. 本研究では生理的レベルのGC連続投与による細胞性免疫機能の変動をNK細胞の細胞数および関連サイトカインの遺伝子発現量の変動を中心に検討を加え,免疫機能亢進に至るまでの主要調節因子を明らかにすることを目的とした.その結果,NK細胞(NK1.1^+,CD3^-)の割合は,投与当初は減少するものの投与4日目以降増加し未投与のレベルまで回復するという傾向が観察された.また,関連サイトカインの遺伝子発現量については有意な変動は観察されなかった.したがって,グルココルチコイド連続投与によるNK細胞数の減少は4日目以降軽減されるものの,その原因となるbasalな状態における細胞性免疫調節因子については特定されなかった.
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