都市再開発の分野の中で、都市経済と居住状況の変化に関する研究を行った。市場主義・自由開放化に伴い進む市民社会への展望を、ミクロな都市社会の生活経済を根底において考察した。具体的には対象居住地調査のための基礎文献調査および基本データ作成を行った。地図・航空写真・住民登録データの入手、居住地・土地保有状況(調査地全体について既存)・実地訪問調査の可能性を調査した。また、一方で社会統計調査のインドネシア人現地研究者の動向について、中央統計局・インドネシア大学人口研究所で聞き取り調査を行った。 また、未整備地域に関しては航空図からでは建物と居住者の一致が判別困難なため、前もって建物の戸別判別の実地調査を行っておくことを目標とした。調査予定地の町内会長に打診して、現況の進展や独自の土地建物の面積調査、所有権移転記録について依頼を行った。 一方機材については簡易なGPSでも2000年5月より誤差発生が縮小したため、パソコンと携帯電話を利用した位置測位機材で済むようになり、これによって住宅のジオデータ上の位置を測定可能と判断した。しかしこれら機材は、研究代表者の転任により、屋外調査用にもかかわらず本年度研究機関への残置が決まっており、来年度の活用が不可能となった。このため実際に時期的問題により調査が不可能となり、かなりの研究内容の縮小が予想される。制度上の問題としてこの点の「機器備品残置」の制度について屋外調査対象に関しては一考を求めたい。 研究結果については、日本地理学会秋季学術大会での「経済危機下ジャカルタ・都市再開発の頓挫と住民」発表をはじめとする4つのプレゼンテーション、裏面に表記する原稿として、グローバル化進展の中の地域民衆経済の動向についてまとめられている。
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