都市再開発の分野の中で、都市経済と居住状況の変化に関する研究を行った。市場主義・自由開放化に伴い進む市民社会への展望を行い、都市社会の生活経済の実態把握を目標とした。 この研究における活動は、対象居住地調査のための基礎文献調査および基本データ作成である。前年に行った地図・航空写真・住民登録データの入手、居住地・土地保有状況(調査地全体について既存)・実地訪問調査に基づき、社会経済指標による分析と最近の動向を分析した。この際には、GISによるデータベース・居住地地図・市外地図の主題図作成で、ジャカルタ各地域との土地利用比較も含まれている。また、一方で社会統計調査のインドネシア人現地研究者の動向について、昨年通り中央統計局・インドネシア大学人口研究所で聞き取り調査を行った。 この結果本年度は経済危機からの影響が強かった昨年度とは違い、都市経済に回復がなされているものの、政治的不安定要素が増して、都市計画や土地利用に混乱や対立が再発していることが知見として得られた。調査地域での新たな展開では、都市住民の経済階層差が二極化していることで、都市計画へのイニシャティブが不在になり、都市貧困層の一層の集積や不法居住が始まり、政治的な民主化の動きとあいまって政治的不安定要素はより拡大しつつあることが挙げられる。 文献調査では、先年の経済危機に関する影響評価や貧困世帯の状況についての出版が始まったため、これを基礎にインドネシア及び東南アジア全般傾向の分析を行った。
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