研究概要 |
バスク自治州内における人口のバスク語を中心とする社会的属性に基づく地域分化を明らかにするために,平成12年7月から8月にかけてバスク自治州において現地調査を実施した。具体的には,バスク自治州政府言語政策局担当官から最近の言語政策およびバスク語人口動態についての概要を聞き取りした。さらにバスク統計局(以下EUSTAT)において州センサス報告のデータを提供いただいた。EUSTATは1981年から5年ごとに州勢調査を実施し,その調査結果を州センサス報告として出版している。その報告には国勢調査報告と同水準の詳細項目に関する情報が含まれているため,本研究で利用する予定の1991年と1996年に実施された州センサス報告の可能な限り広範な属性に関するデータを入手した。これと同時に地域変容の具体的動向を把握するための現地調査を実施した。近年の急激なバスク語人口動態が観察されるギプスコア県の農村地域を中心に巡検,聞き取り調査を実施した。 入手した統計データは地理行列に変換し,統計解析ソフトSPSSを用いて各地域スケールに基づく統計分析作業を現在続行中である。さらに,このように作成したデータの地理行列を,GISソフトのTNTmipsを用いることにより,空間属性との統合を図り,人口の諸属性の空間的分化を統合的に把握できる環境の整備を進めている。 これらの調査結果及び分析結果に基づき,研究成果を公表するための論説を現在執筆中である。
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