本研究では、山地流域における水質形成機構を明らかにするため、中国山地に設置している試験流域において、複数の降雨イベント時に河川流量及び水質変化を測定した。植生に覆われた土壌の保護されている流域では滞留時間は相対的に長く酸は十分に緩衝され、河川pHは一年を通じて7付近で一定であったが、植生の少ない流域では雨季に酸が緩衝されずにpHが低下して流出している傾向を示した。降雨時には、流出ピーク時にAl^<3+>濃度が上昇し、一方流出ピーク後半にはSiO_2濃度が降雨前より上昇した。この結果、降雨時には表層土壌を経由した成分が上昇し、イベント後半には割れ目等を経由する成分が上昇することを示唆した。また、亜高山帯流域で酸性化傾向を、山火事流域で土壌の酸性化を確認し、大気降下性重金属の流出を確認した。
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