研究概要 |
[目的]ショウガは、様々な機能性があることで近年注目を浴びているが、ショウガは様々な調理法によって摂取されているので、食材として考慮した場合、調理加工過程中におけるそれらの活性成分変化が起こることが考えられる。Geranialは、ショウガの主要香気成分であると同時に、抗菌性、抗腫瘍活性などがあることが知られており、その挙動を知ることはショウガの食品としての機能性を考える上で重要であると思われる。そこで今年度では、ショウガの様々な調理条件の中で、最も摂取量の多いショウガの甘酢漬けに着目し、その香気成分の変化について検討した。 [方法]酢酸、シュクロース、NaClからなるモデル甘酢を作成し、1〜2mmにスライスしたショウガを0日、2週間、1ヶ月、2ヶ月貯蔵し、また、コントロールとして水漬けたものを作成し、ビニールパックに充填後4℃で貯蔵した。各サンプルについて、ショウガと漬け汁に分けてポラパックQを充填したカラム法によって香気成分を捕集、抽出しGC分析に供した。 [結果および考察]官能評価により、ショウガを甘酢漬けにすると、強いレモン様の香気が弱まることが分かった。GC分析の結果、香気成分については変化がみられなかった。しかし、主要香気成分であるgeranialが貯蔵することにより減少する傾向を示した。また、ショウガを酢酸水溶液、クエン酸水溶液にショウガを漬けると同様の傾向がみられたことより、酸の影響によって、geranialが減少することが示唆された。 一方、漬け汁においては、甘酢漬けにすることによりgeraniol、1,8-cineolなどのアルコール類が増加し、甘いにおいを呈することがわかった。これらのアルコール類のショウガ自体での減少は認められなかったので、水溶性の前駆体と成りうる成分の存在が考えられた。
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