研究概要 |
各種市販薬草茶,および山野に自生する薬草の生葉・果実・根等について,抗菌活性をペーパーディスク法で調べた。試料を細断後,熱水抽出およびエタノール抽出を行い,抽出液のBacillus subtilis PCI 219に対する抗菌活性を調べた。その結果,クリ,アオキの生葉のエタノール抽出液に強い抗菌性がみられ,クリではストレプトマイシン約250μg/g試料,アオキではストレプトマイシン約30μg/g試料に相当する抗菌力を示した。一方Staphylococcus aureus FAD 209Pに対しては,アオキはストレプトマイシン15.6μg/g試料以下相当の弱い抗菌性を示したが,クリでは阻止円が現れなかった。そこでアオキの抗菌性成分の検索を試み,まずアオキのポリフェノール成分を溶媒分画により得た。得られたポリフェノール画分は生葉の約0.05%であった。このポリフェノール画分の抗菌活性を調べたところ,B.subtilisに対してはストレプトマイシン0.5μg/mg試料以下に相当する弱い抗菌力であったが,S.aureusに対してはストレプトマイシン6.8μg/mg試料相当の強い抗菌力を示し,このことからアオキの抗菌性は,ポリフェノール画分に由来するS.aureusに有効な部分と,それ以外の成分に由来するB.subtilisに有効な部分に大別されることが明らかになった。現在この抗菌性成分について,抗菌活性の高いポリフェノールの特定,およびポリフェノール以外の高活性成分の検索,さらに各種微生物に対する最小発育阻止濃度などについて検討中である。
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