研究概要 |
平成12年度の本研究において、発酵食品の副産物である酒粕の新しい用途を開発する目的で、酒粕抽出物の抗変異原性について、変異原物質としてヘテロサイクリックアミンの中から、変異原性物質であるIQ(2-amino-3-metylimidazo(4,5-f)quinoline)を用いて、Salmonella typhimurium TA1535/psK1002に組み込んだ、突然変異に関与するumuC遺伝子の発現を指標としたumu法によって検討を行った。その結果、水溶性画分およびメタノール画分にそれぞれ抗変異原性を示す物質の存在が示唆された。そこで、本年度は、、IQ以外の変異原物質として、AF-2、4NQO、2-アミノアントラセン、MeIQ、Trp-P-1およびTrp-P-2の6種類に対する抗変異原性について検討した。その結果、AF-2および4NQOに対しては抑制効果が見られず、他の4種については、水溶性画分ではIQよりやや弱く、メタノール画分ではIQとほぼ同程度の抑制効果が見られた。このメタノール画分に抽出される抗変異原物質について水-ヘキサン混液で分画を行い、更なる分析を行ったところ、ヘキサン画分に強い抑制効果が見られ、TLC、HPLC分析の結果、少なくとも3種類の抗変異原性物質の存在が示唆された。詳細についてはさらに検討を行う予定である。また、酒粕ヘキサン抽出画分の抗変異原性を他の食品(文献値)と比較検討を行った結果、ブラックベリー、ブロッコリー、カリフラワーおよびホウレンソウの2〜5分の1量で同等の抗変異原性を持つことが明らかとなった。
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