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2000 年度 実績報告書

魚の塩干しに含まれる変異原の作用機構とグリシンベタインによるその防御機構

研究課題

研究課題/領域番号 12780094
研究機関姫路工業大学

研究代表者

木村 幸子  姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (70225035)

キーワード2-chloro-4-methylthiobutanoic acid / 糖 / サルモネラ菌TA100 / 変異原性
研究概要

さんまの塩干しから検出された2-chloro-4-methylthiobutanoic acid(CMBA)は、サルモネラ菌TA100、TA1535株を用いたAmes test(-S9)において変異原性を示す。今回我々は、CMBAの変異原性が糖類によって増強されることを見出した。試験は次の通り行った。サルモネラ菌TA100株とCMBAを、糖添加または無添加のリン酸ナトリウム緩衝液中で37℃、4時間インキュベートした。つぎに反応混合液を遠心分離して菌を集め、緩衝液に懸濁して洗浄し、再び遠心分離した。この洗浄操作を3回繰り返してCMBAを完全に除去した後、菌懸濁液を寒天プレート上にまき、3日間培養後ヒスチジン非要求性復帰突然変異体のコロニー数をカウントした。その結果、D-mannose>D-glucose>D-fructose>D-ribose>D-galactoseの順でCMBAの変異原性を増強することが明らかとなった。この他、試験した二糖類の内maltoseはわずかに増強作用を示したが、三糖類は効果を示さなかった。また、サルモネラ菌が炭素源として利用することができない単糖類のL-glucoseは効果を示さなかった。
この糖類の変異原性増強作用のメカニズムを調べるため、[methyl-^<14>C]CMBAを用いてサルモネラ菌体内へのCMBAの取り込みに対する糖類の影響を調べた。試験は、変異原性試験と同様の条件で行った。すなわち、サルモネラ菌と[methyl-^<14>C]CMBAを糖添加または無添加リン酸緩衝液中で4時間反応させた後、菌を洗浄し、菌に移行した[methyl-^<14>C]CMBA由来の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。その結果、CMBAの変異原性試験で増強作用を有した糖類が[methyl-^<14>C]CMBAの取り込みを促進していることがわかった。また、単糖類における変異原性増強作用とCMBA取り込み促進作用の間に高い相関性があることも明らかとなった。しかし、二糖類のmaltoseはCMBAの菌体内への取り込みを促進するが、変異原活性を高める作用をほとんどもたなかった。この結果から、単糖類はCMBAの菌体内への取り込みを促進するだけでなく、菌体内でさらに変異原の活性化に関与するものと考えられた。
当初CMBAの変異原性の作用機序を解明するためDNA付加体の検出を試みたが、検出には至らなかった。今後、糖の作用も含めて考える必要がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kimura.S.,Arimoto-Kobayashi.S.and Hayatsu,H.: "Enhancing Effect of Saccharides on the Mutagenicity of 2-Chloro-4-methylthiobutanoic Acid"Mutation Research. 452. 139-144 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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