研究概要 |
本研究は,算数の学習と中学校数学の学習とが乖離している問題を,図形分野と代数分野に分けて,教材,指導法などを理論的にも実践的にも考察検討することによって,移行を促す授業を開発することを研究の目的としており,本年度はその1年目として,以下のことに取り組んだ。 4月からは,移行を促す授業を開発するために,これまでに収集していたビデオテープをプロトコルに変換し、その分析を行った。また,先行研究を収集して,その理論的検討を行い,算数から数学への移行を促す授業を設計する上での枠組み作りを行った。その成果を,日本数学教育学会主催の第33回数学教育論文発表会で発表した。 次に,図形における算数から数学への移行に関する研究として,中学校1年の図形の作図に関する授業データを分析・検討し,それから得られた知見を,第24回数学教育心理研究国際会議,及び日本教科教育学会26回全国大会で,発表した。 さらに,代数分野における移行の研究として,6月から7月にかけて,国立大学附属中学校および公立の中学校にて,中学1年生に対してインタビュー調査を行った。調査は「文字と式」の単元をまだ学習していない中学1年生13名に一次方程式に関わる問題解決に取り組んでもらい,彼らがどのように文字と式に関わる数学的発想を生じさせるかについて分析を行った。それによって得られた成果は,第13回全国数学教育学会で発表した。
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