研究概要 |
本研究では,数感覚に関する評価問題と調査方法の開発を行い,それらを用いて調査を実施し,子どもの数感覚に関するデータを収集,分析することを目的としている。数感覚に関するより詳細なデータを得ることで,数感覚の本質究明に対する示唆が得られ,またその指導法を議論するための理論的基礎が得られると考えるからである。 筆者はこれまで,数感覚の記述枠組みを構築し,この枠組みを用いて数感覚の記述と分析を行っている。そこで今年度はまず,この枠組みやデータ分析に関する吟味を行った。またデータ収集に用いた問題についても,妥当性を検討した。その際,教科書や指導書などをもとに,児童の学習内容やそのねらい,系統についても調査を行った。さらに,先行研究で用いられた調査問題やデータ分析に関しても検討した。これらの検討と考察を踏まえ,評価問題と調査方法の開発を試みた。具体的には,数の理解,数の扱い方に関していくつかの調査問題とインタビュー項目を準備した。 来年度は,上記の評価問題と調査方法の検討をひきつづき行い,さらには小学生児童に対する質問紙や面接による調査を実施する予定である。その際,調査内容に応じて授業の参与観察も適宜実施し,授業中の児童の発言内容などから,数感覚の詳細なデータを収集する。また,得られたデータを分析し,調査問題や方法の適切性について検討を行う。分析に用いる記述枠組みに関しても検討,精緻化を行い,数感覚の記述方法の確立を目指す。
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