本研究では、以下の3点を目的とした。 (1)子どもの思考や問題解決の特徴を質的に分析するための支援となる量的分析手法の開発。 (2)量的手法を中心とする定式的な分析手法による知見の共有・蓄積の可能性の検討。 (3)授業逐語記録と、授業の他の記録、および量的分析結果等を統合的かつ質的に検討できる授業分析支援システムの構築。 (1)に関しては、1単元など、比較的長期にわたる個の学習過程の特徴を量的に分析するための手法の開発をめざし、まずその前提となるデータの特性、分析手法に求められる要件について明らかにした。また、既存の統計学の手法を試験的に適用し、個の学習過程を分析するための量的手法の可能性や課題を明らかにした。 (2)に関しては、主として質的手法をもちいて行われる授業分折の過程を、量の側面からとらえなおし、量的手法と結びつく契機があることを確認した。そして、量的手法を結びつけることによって、知見の共有・蓄積の可能性を広げることを構想した。 (3)に関しては、コンピュータのサーバ上に、授業の言語的な記録や映像記録や量的手法による分析結果を蓄積しこれらを表示しながら統合的に分析を行うことができるような環境を設計した。
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