研究概要 |
平成12年度は,アイカメラを中心とした実験環境の整備を実施し,それを用いた2種類の基礎実験を実施した. (1)番組連動データ放送が視聴者の理解に与える影響に関する基礎的研究 BSデジタルデータ放送サービスが始まり,これらを利用した教育も可能となってきている.BSデジタル放送では,映像だけでなく,さまざまな付加情報を表示することもできる.これらの情報を視聴者はどのように選択し,視聴するかの基礎的な情報を,アイカメラとアンケートを用いて調査した. 言語的説明中心の映像と,イメージ中心の映像の2種類を用意し,実験を行った. その結果,提示する映像の内容によって,学習効果に違いが現れることが明らかになった.言語的情報中心の映像に,説明情報を付加すると,視聴者に認知的負荷がかかりすぎ,逆に理解を阻害する傾向がみられるようになることも明らかになった. (2)字幕情報が映像理解に及ぼす影響に関する基礎的研究 テレビ会議システムを用いた遠隔教育において,映像送信チャンネルを最小限にするために,さまざまなモードの情報を多重化して提示することが考えられる.本研究では,映画の音声とテロップの有無により理解度にどのような違いが見られるかを測定した. その結果,日本語音声を用いた場合,日本語字幕,英語字幕とも,字幕がでると,それを自動的に読みにいってしまう,オートリーディングが働くこと,英語字幕の場合は被験者の英語に関する興味関心の違いにより,見る,見ないがはっきり分かれること,字幕があることにより,理解が進む場合と,逆に阻害される場合があることが明らかになった.
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