研究概要 |
本研究の目的は,WWWを日本語学習のリソースとして捉え,それを活用するための学習環境を構築することである.本年度の研究では,日本語学習の対象領域として,漢字学習支援と待遇表現支援について着目した.漢字学習については,インターネット上での学習者間のコミュニケーションを学習のリソースとして捉え,エージェントにより活発なコミュニケーションを促す枠組みを提案し,システムを開発した.本システムは,漢字学習を誘発する枠組みを持ち,学習者間の会話をモニタリングし,漢字学習に適した会話のテーマや語彙を提示する機能を持つ.試作したシステムを試用したところ,有効な結果を得ることができた.WWWを連動した学習環境への応用も行える枠組みで実装した. 待遇表現については,待遇表現辞書システムにおける学習者の検索情報をリソースとして捉え,システムに蓄積する枠組みを持つシステムを開発した.そして,学習者の検索リソースを用例リソースとして,フィードバックする枠組みを実装した.試作したシステムを試用したところ,有効な結果を得ることができた.そして,これらのシステムの応用プラットフォームとなるWWWをベースにした日本語学習環境に関する研究を進めた.本学習環境では,学習者が任意のWWWを学習リソースとして活用できる枠組みを持ち,自由にカスタマイズやアノテーション情報を入力できる環境を持つ.そして,学習者同士がコミュニケーションをできる環境を提供し,WWWページに埋め込まれた学習者の疑問点などを学習のリソースとし,学習の起点とできる学習環境を構築した.本環境は,学習者の状況に合わせたリソースのフィルタリング機能を実装している.
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