(1)協働的指導組織の教室教師への影響:平成11年度に専門家との協働的指導組織を構成した経験を持つ、兵庫県内の小学校教師に対するインタビューを平成12年8月および9月に実施した。これまでに収集させていただいたデータ(映像データと音声データを文字に直したもの)を基に、学習者の活動過程を追跡したものを作成した。それを題材として、教室教師による振り返りの機会を設けた。結果として、外部人材との協働的な指導組織の経験がその後の教室教師に与える影響としては、以下のように整理される。すなわち、「子どもへの認識面での影響」(子どもへのまなざしの変化等)、「その後の授業実践への取り組みへの影響」(同タイプでメディアを違えた授業実践の計画等)等である。また、総合的な学習等の子どもの学習活動が主体となる学習では、教室教師が一人一人の子どもに対応するには、人材が必要なことはもちろんであるが、同時に、いかに外部人材と事前コミュニケーションをとっているかが、その後の授業行動および授業展開に影響することが指摘された。 (2)協働的指導組織についての事例収集:類型化の手がかりを得るために、協働的指導組織に関する事例を、学校教育の場面から収集を行った。まず、初等教育をターゲットとしたところ、外部人材としては、留学生、高齢者、身体障害者の授業参加があった。しかし、いずれもゲストティーチャーとしての扱いが多く、基本的には教師が授業を運営、指導をしており、外部人材が積極的に指導に関わるということには至っていない。また地域ボランティアによる、本の読み聞かせ活動などでは、逆に教師の指導場面が見られなくなることが観察された。これらの事例をもとに、おおまかな類型化を行い、次年度の質問紙作成を検討している。
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