(1)協働的指導絹織についての事例収集・分析〜指導組織と「きょうどう」イメージとの関連〜:前年度研究過程において、教師は多様な指導組織を経験しており、同時に「きょうどう」という言葉のとらえ方も異なることに気づいた。そこで協働的指導組織の類型化を目的とした事例収集と併せて指導組織形態と「きょうどう」につながる言葉(例えば協同等)との連関について調査を行った(小学校教師24名、中学校教師37名)。結果(1)中学校の教師は学校内人材との指導を「協働」「共働」としてとらえる傾向が強く、学校外人材とでは「協同」「共同」と見なしていること(2)小学校教師は学校内人材との指導は「共同」ととらえるが、学校外人材とでは「協同」ととらえる傾向が強いことなどが明らかになった。 (2)学校教育における、グループで教える・学ぶ体験の調査:(1)の結果、教師が自分以外の人材と協働で学習活動を進めてゆく場合、学習者も少人数の組織を基盤とした学習活動を行っていることが指摘された。これは総合学習等の取り組みとの関連が強いためであるが、協働で指導することと、少人数での子どもの学びとの関連について詳細に分析する必要が生じた。よって「グループで学ぶ体験」と教師の意図との関連、学習組織と指導組織との関連等を追求するために追加調査を行った。詳細なデータを取得するため・対象を小学校1校に限定し、全学年で実態調査を行った。学年発達という視点を基に検討したところ、(1)高学年になるにつれて、グループという形態は、子どもの社会化を促進する手段というよりむしろ教師の授業運営を円滑に進める手段として認識される傾向が強い(2)指導組織は固定的であるため、教師の協働体験も固定しがちであることが見いだされた。これらの結果は特定の学校を対象としたもので、一般化は不可能ではある。しかし学校カリキュラム全体を「集団を通じて学ぶ」という教師、子ども双方の体験を基にして、再構成する手がかりになると考えられる。
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