研究概要 |
本年度は、申請者が従来行ってきた研究で収集した空間テストの解決過程データを用いて、解決方略の特徴を指標化するための予備解析を行った。被験者が各選択肢の判断に要した時間、選択肢を見た順番、解答選択肢の取消および決定順、などのデータから誤答原因の推定につながるような指標を作成するために、まず、解答過程をどのように可視化するか、について検討した。記録したデータを基に、任意の被験者の任意の1問についての解答過程を図示するプログラムを作成すると共に、各問題を構成するそれぞれの選択肢図形の正誤判断に要した時間を抽出した。抽出した時間については、選択肢図形の特徴との関係を分析し、複数の問題を解いている間に1人の被験者の解決方略がどの程度一貫しているか、について検討した。計画では、今年度は1問を解いている間の方略の一貫性の指標を作成するための分析を行うはずであったが、実際は、複数の問題を解いている間の解決方略の一貫性についての分析のほうから先に行ったことになる。1問の中での方略の一貫性の指標についての検討は、来年度行うことにする。 なお、予備解析の成果の一部は、7月28日〜31日に開催された国際会議(9th International Conference on Geometry and Graphics,Rand Afrikaans University,南アフリカ共和国)で発表し、空間認識力の評価などを専門とする研究者とディスカッションおよび情報収集を行った。
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