本研究では、スペインにおける読書へのアニマシオン運動を中心にして、読書とリテラシーの関連性を考究することを目的としており、平成12年度分の研究計画としては、1読書指導関連文献における「読書」「リテラシー」の文献的調査2リテラシー研究者との意見交換・情報交換、3スペインにおけるアニマシオン運動の分析的検討、の3点を下位課題として設定した。それぞれについての実績の概要は以下のとおりである。 1については、国際読書学会発行の図書・機関誌論文、及び日本読書学会発行の機関誌論文等を中心に、文献を収集し、いくつかの歴史的整理をしながら、分析を行った。その結果、欧米各国との「読書」「リテラシー」の相違を比較し、日本の「読書」概念を検討することができた。また、読書史・メディア論の観点からも現代における「読書」教育の再検討を行うことができた。 2については、数回の国際学会参加・発表により、欧米およびアジア各国のリテラシー研究者との研究交流を行った。日本の読書教育における問題点を、教師文化・学校制度・児童文化等の広い視野から浮き彫りにすることができた。 3については、アニマシオンセミナー(80時間コース)への参加を通し、アニマシオン運動の構造を把握してきた。アニマシオン運動の歴史的経緯や社会背景についての聞き取り調査を行った。それらのデータを、1及び2で得られた結果を参考にしながら検討している。平成13年3月現在、アニマシオン運動の基礎となっている読書理論の検討に入っているところである。
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