本年度は、4月以降、まず1970年代から1990年代にかけてアメリカ合衆国において開発された法教育に関する理論書や博士論文、複数の法教育プロジェクトに関する主要文献や具体的な教科書、及び、教師用指導書等の収集につとめた。また、わが国には存在しないもの、あるいは入手困難なものについては、11月に米国に赴き、現地にて収集した。結果、Law In American Sooietyによって1970年代に開発された法教育プロジェクトの教材資料や、アメリカ政治学会と歴史学会の共同研究に基づく法教育教材の資料など計画当初には予想していなかった貴重な資料を収集することができた。 一方、入手済みの資料に関しては、複数のプロジェクトの理論書、及び、教科書や教師用指導書の翻訳作業を進め、単元レベルでの学習指導案等を作成しながら、どのような目標のもとに、どのようなカリキュラム、単元、授業が構想されているのかを、プロジェクトごとに事実を確定していく作業を行ってきた。指導案には、教師による発問などの教授行為、活用される教材、子どもに習得させたい知識や子どもの活動を明記することで、教授・学習活動における内容や方法を具体的に確定した。結果、合衆国の法教育カリキュラムにおいては歴史的判例を中心に組織し、その追判断を行わせるものが多いことが確認できた。 今後は、来年度の学会発表に向けて、作成した指導案をもとに、複数のプロジェクトを比較・検討し、それらにみられる教科論、カリキュラムや単元の内容構成の論理、または学習の方法原理の抽出・解明に取り組む予定である。
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