従来行われてきた観測誤差としての扱いでは説明不可能なより主観的不確実性を持つデータが存在する。これらのデータの分類を考える場合、不確実性情報をもつ個体間の類似性(あるいは非類似性)をどのように定義し、その性質をどのように考慮するかが大きな問題となる。また、不確実性が動的に変化するようなデータに対しては、その変化を解析的に抽出することが必要とされていた。そこで、動的な不確実性変化量を抽出しうる分類結果を得る新たなクラスタリングモデルを提案し、その特性を調査、検証することが本研究の主たる目的であった。さらに、これらの目的のために、不確実性を含む測度を提案する必要があった。 そこで、主観的な不確実性を持つデータについて、不確実性量がいくつかの状況において変化するようなデータを対象とし、その場合の変化量を抽出するファジィクラスタリング手法を提案した。また、その有効性を数理的、実証的に示した。 一般に、ファジィクラスタリングでは、不確実性を示すデータ間の関連性は、その分類結果に要約されるが、そこに存在する不確定性関連構造が、データが実際にもつ関連構造を示すものかについて等質性量を導入することにより検討した。これは、結果的に不確実性を考慮した分類手法の分類結果の妥当性を示すことにつながるため、分類評価とも捉えられる。いくつかの数値実験の結果から、これらの手法や等質性の測度について、従来の手法や測度では抽出できない不確実性量との関連性が示唆された。今後、これらの関連性の確証を得る数理的解明が必要であり、これについては、平成13年度の研究課題としたい。
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